羅漢果(ラカンカ)とは?

羅漢果とはウリ科の多年草つる性植物で、学名を「Momordicae grosvenori Swingle」と呼びます。羅漢果の故郷である中国では古くから民間薬として用いられてきました。外見は濃い緑色で、表面には光沢があり、現在はぶどう棚のような棚で栽培されていて、たわわに実った様子はキーウィなどの果実に似ています。

生のままでは食べません

羅漢果は通常生のままで食べることがありません。生の実のままですと、ほとんど甘味が無く、羅漢果の持つ様々な効能が期待できないからです。そのため、収穫されるとすぐに加工されます。羅漢果の加工は通常、天日で乾した後に加熱処理する方法で行なわれます。何度も繰り返す手間の必要な作業ですが、この作業を行うことによって、果実の糖化が進み、甘味が増します。

漢方薬から甘味料に至るまで

中国には医食同源の思想があり、羅漢果の抽出エキスの甘味を生薬として珍重しています。中国の薬学辞典にはイライラを鎮め、血を清め、咳を止め、血圧を下げるとあります。近年では花粉症・ダイエット・ハーブ茶としても人気があります。また、カロリーゼロの食品として、砂糖の代替甘味料に、加工食品から病院食に至るまで幅広く使われています。

羅漢果の名前の由来

羅漢果の名前は中国清王朝時代の医師・羅漢(らかん)に由来しています。その昔、少数民族・ヤオ族の医師であった羅漢は、山間部に自生している果実にすぐれた薬効があることを発見します。そのことをヤオ族の王様に上奏すると、王様はたいへん喜び、その果実を民間薬として国中に広めていきました。人々は果実の薬効を発見した羅漢の功績を称え、いつしかこの果実を「羅漢果」と呼ぶようになりました。これが長寿の神果といわれる羅漢果の名前の由来です。

知る人ぞ知る果実です

羅漢果が民間薬として使われ始めたのは、1850年頃からです。日本では健康雑誌や女性誌などで紹介されたことがブームのきっかけとなりました。今では続々と愛用者が増え、自然食品専門店以外のデパートやスーパーなどでも見ることができます。また、インターネットを通じてたくさんの方が愛用されています。近年、原産国である中国で生産量が増えたことも、入手しやすくなった理由といえるでしょう。


羅漢果の生産地について

羅漢果は広大な中国のなかでも限られた一部の地域でしか育たない貴重な果実です。世界でただ一箇所、中国は広西壮族自治区の桂林周辺でしか育ちません。他の地域で栽培しようとしても上手く育ちません。そのため、日本で販売されている羅漢果はすべて中国からの輸入品になります。

なぜ中国の桂林でしか育たないのか?

なぜ中国は桂林周辺でしか育たないのか?羅漢果は日照時間が短く、昼夜の温度差が大きい、水はけの良い土地を好みます。桂林周辺はこの条件を備えた数少ない土地であり、それ以外の条件である土壌や紫外線量などでも生育に適した土地です。広大な中国の中でも桂林周辺でしか育たなかったことが、羅漢果を「幻の果実」とした由縁です。

中国桂林の風景龍勝棚田の風景

実は優れたダイエット食品です

羅漢果の香ばしい香りと独特な甘さは、黒砂糖に似ていますが、口に含むと、もっとすっきりしたマイルドな味わいがします。後味もほとんどなく、フルーツジュースの甘さよりも爽やかです。この独特の甘さの秘密は甘味成分にあります。羅漢果に含まれている甘味成分は一般的なブドウ糖ではなく、「テルペングリコシド配糖体」という新しく発見された特殊なものです。

テルペングリコシド配糖体について

テルペングリコシド配糖体は砂糖の約300倍の甘さを持ちながら、ほとんどノンカロリーという特性を持ちます。普通の砂糖のように体内でエネルギー利用されることがなく、排出されてしまう糖分のため、副作用もなく、無害無毒で肥満などの原因になりません。そのため、羅漢果は優れたダイエット食品のみだけでなく、糖尿病などの糖分摂取が制限される方にもおすすめの代替甘味料です。


スカベンジャー物質が豊富

人気の健康食品に杜仲茶やイチョウのフラボノイドなどがありますが、これらの食べ物にはスカベンジャーといわれる物質が多く含まれています。羅漢果にはそれらと同様に豊富なスカベンジャーが含まれています。また、スカベンジャーだけでなく、ミネラルやビタミンの種類、量ともに豊富で、ほとんどノンカロリーという特徴もあります。

スカベンジャーと活性酸素の関係

スカベンジャーとは活性酸素を取り除く物質です。体内で作られる酵素(SODなど)と、食事によって体外から摂取する非酵素(ビタミン類など)に分けられます。活性酸素は細胞を酸化させることによって病気を引き起こす原因と考えられており、現代病であるアレルギーや老化現象、疲労などと関係があるといわれています。

高いスカベンジャー効果

活性酸素の発生を抑えるには酵素と非酵素、どちらのスカベンジャーが欠けても不十分です。二つをバランスよく体内にとどめておかなければなりません。羅漢果が健康に良いのは、このスカベンジャー効果が高いからといわれています。

優れた抗炎症効果

羅漢果はのど飴の原料として知られていますが、それは炎症を鎮める消炎作用があるからです。羅漢果に含まれるスカベンジャー物質が炎症の原因となる活性酸素の過剰な発生を抑えます。そのため、のど荒れ以外の炎症を軽減する作用にも期待されています。

アレルギーの軽減にも

アレルギー疾患が増えている理由のひとつに、現代人が活性酸素を発生しやすい環境にあることが指摘されています。アレルギー疾患を軽減するためには、アレルギーを引き起こす原因であるアレルゲン(ダニ、カビ、ほこり、花粉など)を除去することはもちろんですが、体内にある過剰な活性酸素を除去することも大切と考えられています。羅漢果には、そのために必要なスカベンジャー物質が多く含まれています。

アレルギーと活性酸素の関係

アレルギー疾患には活性酸素が関わっているといわれています。アレルギー体質は生体内で増えすぎた活性酸素が細胞を傷つけることで起こるからです。傷ついた細胞は本来体内に入れて平気な物質に対しても過剰な免疫反応を示すようになります。アレルギーとはこのような過敏な防御反応であり、活性酸素と関係があると報告されています。

抗ストレス効果も期待されている

消炎作用、アレルギー予防とともに注目されているのが、抗ストレス作用です。ストレスは万病の元とも言われますが、羅漢果には、このストレスを軽減させる作用があるといわれています。詳しい報告はこれからですが、活性酸素を減らす羅漢果に抗ストレス作用を期待するのは自然な考えといえます。


体内に蓄積されないから、副作用なし

羅漢果は薬ではなく、健康食品です。では、一般にいう薬との違いは何でしょうか。副作用のない薬はない、とよくいわれますが、それは人工的に作られた薬の場合、その成分が大なり小なり体内に蓄積されて、完全には排出されないからです。しかし、羅漢果は自然のものなので、成分が体内に蓄積されることがなく、余計な成分は体外に排出されます。だからこそ、副作用を気にすることなく摂取できるのです。

羅漢果は糖分以外もノンカロリー

これまでの説明で"羅漢果は欠点のない食品なのか"と思われた方もいると思います。しかし、それは間違いです。なぜなら、羅漢果には栄養素がほとんど含まれていないからです。羅漢果の糖分が、ほぼノンカロリーだと説明しましたが、糖分以外の成分についてもカロリーはほとんどありません。

また、羅漢果に限らず、スカベンジャー物質の活性酸素除去作用は、ほかの栄養素と組み合わさってはじめて発揮されるものです。たとえば、スカベンジャー物質の一つであるカロチンには、脂に溶けないと体内に吸収されないという特性があります。ほかのスカベンジャー物質も同様に、ほかの栄養素とセットでなければ効果は期待できないのです。

バランスの良い食事が除去作用を高める

スカベンジャー物質のうち、体内で作られる酵素・SODについても、羅漢果だけを食べていては作られません。SODはタンパク質を主成分としていますが、羅漢果にはビタミンやミネラル分が豊富でも、タンパク質はないからです。体内のタンパク質が十分でなければ、いくら羅漢果を摂取しても、SODは生成されません。普段からバランスのよい食生活を心掛けることで、羅漢果の活性酸素除去作用を期待できるのです。


羅漢果の特徴

羅漢果のレシピ